おヒゲ

　井上和香と、女ずもうをとってみたい！


　掃除なら、していませんよ。当日昼間にすればいいんや！半ば開き直りの精神です。これが、大学を7年かけて卒業するための秘訣なんです。


じゃあ、何をしていたのかという疑問、それは正しい疑問です。


たしかに、帰宅中は『帰ってからは、掃除の総仕上げやー！』と考えていたような、そんなかすかな記憶が鼻腔をくすぐりましたんです。


結局、家に到着し一息ついたら（靴下の匂いを嗅ぎ『うむ！今日も一日、勤労したであります！』と納得したりする）、臀部から根っこが生えてきたかのようにすべてが億劫になってしまったのです。


　『北斗の拳』で『あー息をするのもめんどくせえ！』と言い放った、そんな敵がいたように記憶していますが、まさにそういった心境です。ちなみにそいつはケンシロウに『息を吐くことはできても、吸うことができなくなる』という、痒いところに手が届く的な、ピンポイントな効果の秘孔を突かれて死ぬんです。


しばらく根っこを楽しんでいたんですけど、一念発起！立ち上がって何をしたのかというと、料理！正確には、料理するための買い物に出掛けたのです。


参ったなあ、行動に脈絡がなくなってきました。まあよいです。本格的にクッキングに取り組んだのは、とてつもなく久しぶりでしたよ。


それもこれも、我が家でお鍋するんですから！おっちゃんホストファミリーなんやから！という使命感なんです。


いにしえのバイト先で培った調理の技術、久々にひもといてみれば、おもいっきり錆び付いていて、ろろろ狼狽しましたけど、なんとか作り上げました『バンバンジー』。


鶏肉茹でる時間が40分でしょ、ある程度冷まして2時間、そこから細かく引き裂くのが、まあ10分。


丑三つ時に、こんなに時間がかかるもの作り上げているのか！鶏肉引き裂きながらずっと疑問でした。


まあいいです。わりかし手の込んだサイドメニューを作っておきましたから、お鍋だけじゃないんです。