ＮＯ ＴＯＲＩＭＡＳＥＮ・・・

　見ましたか?『実写版火乗るの墓』。あんなに楽しみにしていた『ビチビチやねん』『通りません』がなかったよ!!しかも、『ビチビチやねん』にいたっては、『おなか緩いねん』にかえやがったな、ばかやロウ!!そんなもって回った言い回し、幼児がするわけないでしょうに!!!『ビチビチ』のような、微笑ましい幼児語さえも使いづらくなってんのかねえ、自主規制というものは。それならば、そんなシーン、はなっから使うなよぉぉぉぉぉ!!!
　『通りません』に関しては、見ているほうとしては、『おぉっ、言いそうだ、んっ、まだか?ウヒーもうちょっとで言うぞ!!って、おい!!結局言わないのですか!!!』的な、じらしプレイを松嶋奈々子に施されたような、ほのかな快感さえ与えてくれたから、まあ、よしとしようか。
　にしてもまあ、松嶋奈々子が『通りません』の人の役をやるとは、びっくりしましたねえ。まあ、『火乗るの墓』の登場人物で、松嶋奈々子を無理やり当てはめるのならば、『通りません』の人になってしまいますか。にしても、無理やり感は否めないですけどね。
　ようするに、アニメ版では最凶ヒールであった『通りません』の人が、どのような経緯葛藤を経て『通りません』の人になったのか(いやだから、ドラマでは『通りません』なかったんですけどね)、んで、それを通じて戦争反対を訴えるというわけでしょうが、やっぱり、『通りません』の人に理屈はいらなくて、もっと短絡的なヒールであったほうが、よりメッセージが明確に伝わってくると思うんですよ。アニメ版では、ヒール化したの、もっと早かったし、葛藤も描かれていなかったけど、そもそもそんな必要もなくて、要するにまあ、脇役なんですよ。それをさあ、松嶋奈々子が出るっていうことで、無理矢理サイドストーリー作って、ああやっぱり、そんなんいらんなあ。そっちに時間かけたせいで、『節子が徐々に弱っていく感』がほとんど出ていなかったし。
　それにね、松嶋奈々子がいくらイヤゴト言っても意地悪しても、説得力がないんですよ。きれい過ぎて。やはりここは、泉ピン子が演じてくれないと。あの毒々しいルックスをもって、うわずみの汁だけ食わせたりしたら、視聴者もヒートアップしますって。いやだからつくづく松嶋奈々子はミスキャストだったと思いますよ。
　それからね、蛍のＣＧが安すぎる!!!って、僕も本物の蛍は一度しか見たことないけど、ちょっと現実のものとはかけ離れて過ぎていて、結構な見せ場であるあのシーンでも、失笑を禁じえなかったわよ。あれじゃおめえ、安物の心霊写真にありがちな『オーブ』みたいなもんだぜよ。
　なんて、ダメだしばっかりしているように見せかけて、ほめますよー。まず、あれだ、節子だよ、節子!!!!あれはもう、まったくの節子じゃあないか!!!すごすぎるよ!!あんな幼いのに、演技上手すぎるよ!!!ぜったいさあ、『節子役』なんてめちゃくちゃ難しいぜ!!!それなのに、節子以上に節子じゃないか!!!あの死ぬ寸前の虚ろ感、涙、とめどなく!!!
それから、最後!!!完璧な後付けのくせして、涙!ブワッと!!『んだよこんなもん、しょーもないシーン付け足しやがって、野坂先生に謝れい!!!』なんて思いながら見ていたら、おばあさんの遺品のドロップの缶が出てくるじゃあありませんか!!!うわぁやられた!!ここで１涙。それでは飽き足らずに、ドロップの缶を開けて、節子の遺骨を取り出すんですよ!!そして、蛍がいっぱい飛んでいた川に散骨するんですよ!!!そんなことしたら、２涙!!!
　ちゅうわけでさあ、良くも悪くも、思っていたよりもはるかに楽しめたんです。